葬儀の胡蝶蘭の鉢植えマナー完全ガイド|値段や立て札も解説
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突然の訃報に接し、故人を偲ぶ気持ちをどのように表せばよいか、戸惑うことは少なくありません。

特に、葬儀の胡蝶蘭の鉢植えを贈る際には、マナーや相場、適切なタイミングなど、気になる点が多くあるのではないでしょうか。

たとえば、胡蝶蘭の色や値段はどの程度が適切なのか、立て札には何をどう書けばよいのか、また宗教によって違いはあるのかといった疑問が浮かぶかもしれません。

さらに、贈り先の斎場や自宅といった置き場所への配慮や、万が一供花を辞退された場合の対応、そして葬儀後の鉢植えの処分方法に至るまで、遺族に負担をかけないための心配りは欠かせません。

この記事では、そうした葬儀の胡蝶蘭の鉢植えに関するあらゆる疑問や不安を解消するために、基本的なマナーから具体的な手配の方法、そして遺族への心遣いまで、網羅的に詳しく解説していきます。

故人への深い弔意と、遺族への温かい配慮が伝わるよう、ぜひ最後までお読みいただき、お役立てください。

この記事でわかること
  • ➤葬儀に胡蝶蘭を贈る最適なタイミング
  • ➤マナーとして適切とされる胡蝶蘭の色や値段
  • ➤宗教・宗派による供花の考え方の違い
  • ➤恥をかかないための立て札の正しい書き方
  • ➤遺族に配慮した置き場所の確認方法
  • ➤供花を辞退された場合の適切な対応
  • ➤葬儀後の胡蝶蘭の処分や手入れの方法

 

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えを贈る際に守るべき基本マナー

この章のポイント
  • ➤供花として贈るタイミングと注意点
  • ➤葬儀にふさわしい胡蝶蘭の色の選び方
  • ➤宗教ごとの違いと確認事項
  • ➤立て札の書き方と贈り主名の記載方法
  • ➤葬儀の胡蝶蘭の鉢植えの相場と値段の目安

供花として贈るタイミングと注意点

葬儀に胡蝶蘭を贈る際、最も重要なことの一つが贈るタイミングです。

タイミングを間違えると、かえってご遺族に迷惑をかけてしまう可能性もあるため、細心の注意を払う必要があります。

まず、訃報を受けたら、できるだけ早く手配を始めるのが基本となります。

理想的なのは、お通夜の開始前に斎場へ届くように手配することです。

お通夜は故人と親しい人々が最後の夜を過ごす大切な儀式であり、その場に供花があることで、弔意がより深く伝わるでしょう。

お通夜に間に合わない場合でも、告別式の開始前までには必ず届くように手配を進めましょう。

告別式が始まってから花が届くと、式場のスタッフやご遺族を煩わせてしまうことになりかねません。

手配前の確認事項

胡蝶蘭を手配する前には、いくつか確認すべき重要な点があります。

第一に、ご遺族が供花を受け付けているかどうかの確認です。

最近では、家族葬の増加などに伴い、「ご厚志(香典・供花・供物)ご辞退」の意向を示されるケースも少なくありません。

この意向を無視して無理に贈ることは、マナー違反となります。

訃報の連絡や葬儀の案内状に記載がないか、必ず確認してください。

第二に、配送先の情報を正確に把握することです。

葬儀が行われる斎場の名称、住所、電話番号はもちろんのこと、喪主様のお名前や、場合によっては葬儀が執り行われる式場の部屋名まで確認できると、よりスムーズな配送が期待できます。

斎場によっては、外部の生花店からの持ち込みに特定のルール(持ち込み時間や搬入口など)を設けている場合もあるため、手配を依頼する生花店に斎場名を伝え、確認してもらうのが最も確実な方法です。

枕花と供花の違い

葬儀に贈る花には「枕花(まくらばな)」と「供花(きょうか・くげ)」がありますが、その役割と贈るタイミングには違いがあります。

この違いを理解しておくことも大切です。

枕花は、故人が亡くなってからすぐに、ご遺体が安置されている場所(ご自宅や安置施設など)の枕元に供える花です。

主に、故人と特に親しかった近親者や親族が贈るもので、訃報を受けてすぐに手配し、お通夜が始まる前に届けるのが一般的です。

一方で、供花は、お通夜や告別式が行われる祭壇の周りに飾られる花で、故人への弔意を示すために贈られます。

こちらは、親族だけでなく、故人の友人、知人、会社関係者など、より広い範囲の人々が贈るものです。

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えは、この「供花」として贈られるのが一般的といえるでしょう。

  • タイミング:お通夜の開始前、遅くとも告別式の開始前までに届ける。
  • 事前確認:ご遺族が供花を受け付けているか、必ず確認する。
  • 配送先情報:斎場の名称、住所、喪主名を正確に伝える。
  • 依頼先:葬儀に詳しい生花店に相談すると安心できる。

これらの点を押さえて手配することで、故人への敬意とご遺族への配慮の気持ちが、しっかりと伝わるはずです。

葬儀にふさわしい胡蝶蘭の色の選び方

葬儀の場に贈る胡蝶蘭を選ぶ際、色の選択は非常に重要です。

お祝い事とは異なり、お悔やみの場にふさわしい色を選ぶことが、故人様とご遺族への礼儀となります。

基本は「白色」の胡蝶蘭

結論から言うと、葬儀の供花として最もふさわしく、絶対に間違いがない色は「白」です。

白い胡蝶蘭は、清らかさ、純粋さ、そして厳粛な哀悼の意を象徴する色とされています。

どのような宗派の葬儀であっても、白色の胡蝶蘭であれば失礼にあたることはありません。

特に、大輪の白い胡蝶蘭は、その格調高い佇まいから、法要の場において最も多く選ばれています。

もし、どの色を選べば良いか迷った場合は、迷わず白色の胡蝶蘭を選ぶようにしましょう。

白色以外の選択肢は?

基本は白色ですが、場合によっては他の色が選ばれることもあります。

たとえば、「白上がり」と呼ばれる、白を基調としながらも、花の中心部分(リップ)に少しだけ赤色が入っている品種があります。

これも、控えめな色合いであるため、供花として許容されることが多いです。

また、ごく稀に、故人が生前好きだった色ということで、淡いピンクや黄色の胡蝶蘭が贈られるケースもあります。

しかし、これはご遺族との関係性が非常に近く、故人の好みやご遺族の意向を十分に理解している場合に限られます。

一般的な弔問客の立場であれば、サプライズ的な色の選択は避け、白色を選ぶのが賢明です。

ラッピングや装飾に関する注意点

胡蝶蘭の色だけでなく、鉢を包むラッピングの色や素材にも配慮が必要です。

お祝い用の金襴や赤、ピンクといった派手な色のラッピングは絶対に避けなければなりません。

葬儀用のラッピングは、紫、紺、緑、グレーといった寒色系や落ち着いた色のものを選ぶのがマナーです。

リボンも同様に、派手なものは避けるべきでしょう。

最近では、ラッピングをせずに、陶器の鉢のまま贈るスタイルも増えています。

ラッピングについて不安な場合は、注文する際に「お供え用」「葬儀用」であることを明確に伝えれば、生花店がふさわしいものを選んでくれますので、必ず用途を伝えるようにしてください。

色の選択は、弔意を形として表す重要な要素です。

故人を偲ぶ厳粛な気持ちが伝わるよう、最も格式高い白色の胡蝶蘭を選ぶことを基本と心得ておきましょう。

宗教ごとの違いと確認事項

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えを贈る際には、故人様やご遺族の宗教・宗派に配慮することが大切です。

供花に関する考え方は宗教によって異なるため、事前に確認することで、より丁寧な弔意を示すことができます。

仏式の葬儀

日本で最も多く行われる仏式の葬儀では、胡蝶蘭を供花として贈ることは一般的に何の問題もありません。

白い胡蝶蘭は、その清浄な佇まいが仏教の教えとも合致し、祭壇を厳かに彩る花として広く受け入れられています。

ただし、仏教の中でも宗派によって考え方が少し異なる場合があります。

特に「浄土真宗」では、教義上の理由から、他の宗派ほど華美な供花を飾らない傾向があるとされています。

とはいえ、現代では浄土真宗の葬儀でも胡蝶蘭が飾られることは多く、絶対にNGというわけではありません。

しかし、特に伝統を重んじるご家庭や寺院での葬儀の場合は、念のため葬儀社やご遺族に確認すると、より安心できるでしょう。

神式の葬儀(神道)

神道で行われる神式の葬儀(神葬祭)でも、供花を贈ること自体は可能です。

仏式と同様に、白い胡蝶蘭などが選ばれることが多いです。

ただし、神式では「榊(さかき)」を供えるのが最も伝統的な習わしです。

また、花を贈る場合、仏式で使われる「ご霊前」という言葉は使わず、「御玉串料(おたまぐしりょう)」や「御榊料(おさかきりょう)」といった表書きを用います。

立て札の表書きも「奉献」や「奉納」とすることがあります。

こちらも、もし不安であれば葬儀社に確認するのが最も確実です。

キリスト教式の葬儀

キリスト教式の葬儀では、供花に対する考え方が仏式とは少し異なります。

キリスト教では、故人は神のもとに召されると考えられているため、日本のようにお供え物として祭壇に花を飾るという習慣は元々ありませんでした。

しかし、日本の文化に合わせて、葬儀の際に献花台が設けられ、そこに花が飾られることが多くなっています。

キリスト教式の葬儀に花を贈る場合、注意すべきは「鉢植え」を避けるべきとされる点です。

これは、根付く植物が「不幸が根付く」ことを連想させるという考え方があるためです。

そのため、胡蝶蘭を贈る場合は、鉢植えではなく、切り花を用いたアレンジメント(バスケットフラワーなど)の形にするのが一般的です。

ただし、この習慣も教会やご遺族の考え方によって柔軟に運用されているのが実情です。

最近では、葬儀後にご遺族が持ち帰って育てられるようにと、鉢植えの胡蝶蘭を受け付けてくれるケースも増えています。

したがって、キリスト教式の葬儀に胡蝶蘭を贈りたい場合は、事前に教会や葬儀社に「鉢植えの供花をお贈りしてもよいか」と確認することが必須のマナーとなります。

  1. 仏式:基本的に問題ないが、浄土真宗など一部宗派では念のため確認すると丁寧。
  2. 神式:可能だが、榊が正式。立て札の表書きに注意が必要。
  3. キリスト教式:鉢植えは避けるのが伝統。贈る場合は必ず事前に教会や葬儀社に確認する。

宗教による違いは複雑な面もありますが、「贈る前に確認する」という姿勢こそが、ご遺族への最も大切な配慮と言えるでしょう。

立て札の書き方と贈り主名の記載方法

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えを贈る際、誰から贈られた花なのかをご遺族や他の弔問客に知らせるために「立て札(たてふだ)」または「名札(なふだ)」を添えるのが一般的です。

この立て札の書き方には、守るべきマナーがありますので、正しく記載することが重要です。

立て札の基本構成

立て札は、大きく分けて「お祝い文字(頭書き)」と「贈り主名」の二つの要素で構成されます。

1. お祝い文字(頭書き)
立て札の一番上に記載する言葉です。葬儀の場合は、お悔やみの意を示す言葉を選びます。一般的に使われるのは以下の通りです。

  • 「供」または「御供」:最も一般的で、宗教・宗派を問わず使用できます。迷ったらこれを選べば間違いありません。
  • 「御霊前」:仏式の通夜・告別式で広く使われます。ただし、浄土真宗などでは用いないため注意が必要です。
  • 「御仏前」:仏式の四十九日法要以降に使われる言葉です。通夜・告別式では使用しません。

最近では、文字のバランスなどから、よりシンプルな「供」一文字を選ぶケースも増えています。

2. 贈り主名
頭書きの下に、誰が贈ったのかを明確にするために、贈り主の名前を記載します。

贈り主名の書き方パターン

贈り主の状況によって、名前の書き方はいくつかパターンがあります。

個人で贈る場合:
シンプルに氏名を記載します。「〇〇 〇〇」のように、フルネームで書くのが丁寧です。

夫婦連名で贈る場合:
夫の氏名をフルネームで書き、その左側に妻の名前のみを記載します。

会社として贈る場合:
「会社名」と「代表者の役職・氏名」を併記するのが最も丁寧な形です。
例:「株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇」
スペースの都合などで代表者名を省略する場合は、「株式会社〇〇」と会社名のみ、あるいは「株式会社〇〇 社員一同」とすることもあります。

複数人(友人・部署など)で贈る場合:
連名で贈る場合は、全員の名前を記載するのが基本です。右から目上(年長者)の順に記載します。
人数が多くて書ききれない場合は、「〇〇大学 友人一同」や「株式会社〇〇 営業部一同」のように、団体名と「一同」という言葉を使ってまとめます。この際、別紙に全員の氏名と住所、出した金額などを記載したリスト(芳名帳)を添えると、ご遺族が香典返しなどの整理をする際に非常に親切です。

立て札を依頼する際の注意点

立て札は、通常、胡蝶蘭を注文する生花店で用意してもらえます。

注文する際には、上記の頭書きと贈り主名を正確に伝えることが大切です。

特に、会社名や役職名、氏名の漢字に間違いがないよう、口頭だけでなく、FAXやメールなどで文字情報を送って確認すると、間違いを防ぐことができます。

立て札は、故人への最後の贈り物の一部であり、ご遺族にとっては誰が故人を想ってくれたかを知る大切な手がかりです。

マナーを守り、心を込めて準備しましょう。

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えの相場と値段の目安

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えを贈ることを決めたとき、次に気になるのがその値段や相場ではないでしょうか。

あまりに安価なものでは失礼にあたらないか、逆に高価すぎるとご遺族に気を遣わせてしまわないか、と悩むところです。

ここでは、一般的な相場と選び方のポイントを解説します。

一般的な価格帯

葬儀用の胡蝶蘭の相場は、贈る相手との関係性によっても変わりますが、一般的には15,000円から50,000円程度の価格帯で選ばれることが多いです。

この価格の違いは、主に胡蝶蘭の「立て数(ステムの本数)」、「花の大きさ(大輪・中輪など)」、「一輪一輪の花の数(輪数)」によって決まります。

  1. 友人・知人として贈る場合:15,000円 ~ 25,000円(3本立てが主流)
  2. 親族や特に親しい間柄の場合:20,000円 ~ 30,000円(3本立て~5本立て)
  3. 法人・会社として贈る場合:25,000円 ~ 50,000円(見栄えのする3本立てや5本立て)

最も一般的なのは、白い大輪の3本立てで、価格帯としては20,000円前後から30,000円程度のものが多く選ばれます。

これくらいの規模のものであれば、祭壇に飾られても見劣りすることなく、かつ過度に華美になることもないため、どのような間柄でも安心して贈ることができます。

法人として贈る場合や、複数の部署や有志でまとめて贈る場合は、より立派な5本立て(30,000円~)を選ぶと、会社としての弔意をしっかりと示すことができるでしょう。

値段と品質の関係

胡蝶蘭は、値段と品質がある程度比例する花です。

安価すぎるものは、花の数が少なかったり、花の並びが不揃いだったり、あるいはすぐに萎れてしまったりする可能性があります。

葬儀という厳粛な場で、すぐに傷んでしまうような花を贈ることは避けたいものです。

そのため、あまりに相場からかけ離れた安価な商品には注意が必要です。

信頼できる生花店や、胡蝶蘭を専門に扱う農園から直接購入することをお勧めします。

大切なのは金額よりも気持ち

相場はあくまで目安です。

最も大切なのは、故人を偲び、ご遺族をいたわる気持ちです。

無理をして高価なものを贈る必要はありません。

ご自身の予算の中で、心を込めて選んだものであれば、その気持ちは必ずご遺族に伝わります。

相場を参考にしつつも、ご自身の弔意を表すのにふさわしいと思える一鉢を選ぶことが、何よりも重要です。

注文する際には、予算と「お悔やみ用であること」を伝え、お店の人に相談してみるのも良い方法です。

 

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えに関する遺族への配慮とよくある疑問

この章のポイント
  • ➤斎場や自宅など置き場所への配慮
  • ➤供花を辞退された場合のマナー
  • ➤葬儀後の胡蝶蘭の処分や手入れ方法
  • ➤お悔やみの気持ちを伝えるメッセージカード
  • ➤まとめ:故人を偲ぶ気持ちを込めた葬儀の胡蝶蘭の鉢植え選び

斎場や自宅など置き場所への配慮

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えを贈る際には、その花がどこに置かれるのかを想像し、ご遺族や斎場に余計な負担をかけないように配慮することが、見落とされがちながら非常に重要なマナーです。

斎場のスペースを考慮する

葬儀が執り行われる斎場では、祭壇の周りに多くの供花が並べられます。

しかし、式場の広さや葬儀の規模によっては、供花を飾るスペースには限りがあります。

特に、近年増えている小規模なホールでの家族葬などの場合、あまりに大きな鉢植えを贈ると、かえって置き場所に困らせてしまう可能性があります。

もし可能であれば、葬儀社に連絡を取り、「〇〇家の葬儀に胡蝶蘭をお贈りしたいのですが、スペースの都合などございますでしょうか」と、事前に確認をとっておくと、ご遺族にも斎場スタッフにも親切です。

また、斎場によっては、統一感を出すために供花を葬儀社で一括して手配している場合や、外部からの花の持ち込みに関するルールが定められている場合もあります。

このような点からも、事前の確認は有益と言えるでしょう。

ご自宅へ贈る場合の注意点

お通夜や告別式は斎場で行われるものの、ご遺族の意向で自宅に直接贈るケースもあります。

ご自宅に届ける場合は、斎場以上にスペースの問題を考慮する必要があります。

一般的なご家庭の玄関やリビングに、5本立てのような大きな胡蝶蘭の鉢植えを置くのは難しい場合が多いです。

ご自宅へ贈る場合は、3本立ての中でも少しコンパクトなサイズのものや、ミディ胡蝶蘭と呼ばれる一回り小さな品種を選ぶなどの配慮があると、ご遺族も管理しやすくなります。

葬儀後の持ち帰りも想定する

祭壇に飾られた供花は、告別式の後、出棺の際に棺の中に入れる「別れ花」として使われることもありますが、胡蝶蘭の鉢植えはそのまま残ることがほとんどです。

残った鉢植えは、ご遺族が自宅へ持ち帰ることになります。

大きな鉢植えが複数あると、運搬するだけでも大変な労力となります。

贈る側としては、立派なものを、と考えがちですが、受け取る側の負担を想像する視点も忘れないようにしたいものです。

結論として、置き場所への配慮とは、物理的なスペースの問題だけでなく、「受け取る側の手間を増やさない」という心遣いそのものです。

良かれと思って贈ったものが、ご遺族の負担になってしまっては本末転倒です。

特に大きなサイズの胡蝶蘭を贈ることを検討している場合は、一度立ち止まって、受け取る側の状況を考えてみることが大切です。

供花を辞退された場合のマナー

近年、家族葬の増加や、ご遺族の意向により、葬儀の案内状などで「誠に勝手ながら、ご厚志(香典・供花・供物)につきましては固くご辞退申し上げます」といった文言を見かける機会が増えました。

このように、ご遺族が供花を明確に辞退されている場合に、どのように対応すべきかは非常に重要なマナーです。

基本はご遺族の意向を尊重する

結論として、ご遺族が供花を辞退されている場合は、その意向を尊重し、胡蝶蘭をはじめとする一切の供花を贈らないのが絶対的なマナーです。

「どうしても弔意を示したいから」という理由で無理に贈ってしまうと、ご遺族は受け取るべきか、断るべきか、と対応に苦慮することになります。

また、他の方々が辞退している中で特定の人からの花だけを受け取ると、角が立つ可能性もあります。

ご遺族は、葬儀の準備で心身ともに疲弊している状況です。

その負担を少しでも減らしたい、という思いから辞退されているケースがほとんどですので、その気持ちを汲み取ることが何よりも大切です。

弔意を示す他の方法

供花を贈ることができなくても、お悔やみの気持ちを伝える方法は他にあります。

1. 弔電(ちょうでん)を打つ
供花は辞退されていても、弔電まで辞退されるケースは稀です。

お通夜や告別式の場で読み上げられる弔電は、故人を偲び、ご遺族を慰める心のこもったメッセージとなります。

NTTや郵便局、インターネットの電報サービスなどで手配できます。

2. 後日、お悔やみの手紙を送る
葬儀直後はご遺族も慌ただしくしているため、少し落ち着いた頃(葬儀後1週間〜四十九日までの間など)を見計らって、お悔やみの手紙をお送りするのも非常に丁寧な方法です。

故人との思い出や、ご遺族を気遣う言葉を綴ります。

3. 弔問する
もしご遺族から許可が得られるのであれば、後日、ご自宅へ弔問に伺うという方法もあります。

ただし、これはご遺族の負担になる可能性も高いため、必ず事前にご都合を伺い、長居はしないといった配慮が必要です。

4. 何もしないという選択
「何もしない」ことも、場合によっては一つの配慮となります。

ご遺族の「そっとしておいてほしい」という気持ちを尊重し、静かに故人のご冥福を祈ることも、立派な弔意の表し方です。

  • 辞退の意向があれば、絶対に贈らない。
  • 無理に贈ることは、かえって迷惑になる。
  • 代替案として、弔電やお悔やみの手紙を検討する。
  • ご遺族の気持ちを最優先に考えることが最も重要。

供花はあくまで弔意を表すための一つの手段です。

その手段に固執するのではなく、ご遺族の状況と気持ちに寄り添った行動を選択することが、真の思いやりと言えるでしょう。

葬儀後の胡蝶蘭の処分や手入れ方法

無事に葬儀が終わり、祭壇を飾った多くの胡蝶蘭は、ご遺族が引き取ることになります。

立派な胡蝶蘭は見栄えがしますが、その後の管理や処分は、ご遺族にとって少なからず負担となる可能性があることを、贈る側も知っておくべきです。

ここでは、葬儀後の胡蝶蘭の扱われ方について解説します。

ご遺族による手入れと管理

胡蝶蘭は、本来は長持ちする植物です。

適切な手入れをすれば、葬儀後も1〜2ヶ月以上花を楽しむことができますし、翌年以降も花を咲かせることが可能です。

花が好きだった故人を偲び、ご遺族がそのまま自宅で育てるというケースも少なくありません。

もし、贈った胡蝶蘭をご遺族が大切に育ててくれるのであれば、それは贈った側にとっても喜ばしいことでしょう。

しかし、そのためには水やりや温度管理といった手間がかかります。

特に、大きな鉢植えが何鉢もあると、その管理は大変です。

親族や関係者での分担

葬儀にいただいた供花をご遺族だけでなく、参列した親族や故人と親しかった方々で分け合って持ち帰る「花分け」という習慣もあります。

これにより、一家族あたりの負担を減らし、より多くの人に故人を偲ぶ機会を提供することができます。

胡蝶蘭の鉢植えも、この花分けの対象となることがあります。

専門業者による引き取りや処分

残念ながら、すべての鉢植えをご遺族が管理できるわけではありません。

特に、アパートやマンション住まいで置き場所に困る場合や、高齢のご遺族で手入れが難しい場合など、処分せざるを得ないケースも多々あります。

その場合、以下のような方法が考えられます。

  1. 葬儀社に依頼する:葬儀社によっては、オプションサービスとして、葬儀後の供花の引き取りや処分を行ってくれる場合があります。有料の場合が多いですが、ご遺族にとっては非常に助かるサービスです。
  2. 生花店に相談する:胡蝶蘭を購入した生花店や、専門の園芸店が引き取りサービスを行っていることがあります。これも一つの選択肢です。
  3. 自治体のルールに従って処分する:最終的にご自身で処分する場合は、自治体のゴミ分別のルールに従う必要があります。一般的には、植物(土を含む)、プラスチック製の鉢、支柱などをそれぞれ分別して捨てることになります。これが意外と手間のかかる作業です。

贈る側がこの「葬儀後の手間」を少しでも想像することが、思いやりのある供花選びにつながります。

たとえば、あまりに大きすぎるものを避ける、あるいは注文時に「葬儀後の引き取りサービスはありますか」と生花店に確認し、その情報をそっとご遺族に伝えるといった配慮も考えられるかもしれません。

故人を悼む気持ちが、後々ご遺族の悩みの種にならないよう、贈った後のことまで思いを巡らせたいものです。

お悔やみの気持ちを伝えるメッセージカード

葬儀の胡蝶蘭の鉢植えには、誰からの供花かを示すための「立て札」を添えるのが一般的です。

しかし、立て札は形式的なものであり、より個人的なお悔やみの気持ちを伝えたい場合には、別途「メッセージカード」を添えるという方法があります。

メッセージカードを添える意味

メッセージカードは、立て札のように他の弔問客に見せるためのものではなく、ご遺族に向けて個人的な弔慰を伝えるためのものです。

定型的な言葉になりがちな立て札だけでは伝えきれない、故人との思い出やご遺族を気遣う温かい言葉を綴ることで、より深い哀悼の意を示すことができます。

ただし、必ず添えなければならないものではありません。

あくまで、ご自身の気持ちとして伝えたいことがある場合に、任意で添えるものと理解しておきましょう。

メッセージカードの書き方と文例

お悔やみのメッセージは、簡潔で心を込めたものであることが大切です。

長々と書くのではなく、ご遺族が短い時間で読めて、心に負担を感じさせないような内容を心がけます。

基本的な構成:

  • お悔やみの言葉
  • 故人を偲ぶ言葉や思い出(ごく簡潔に)
  • ご遺族を気遣う言葉
  • 結びの言葉

文例:

「〇〇様の突然の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。

生前の明るい笑顔ばかりが思い出され、胸が痛む思いです。

ご遺族の皆様も、さぞお力落としのことと存じますが、どうぞご自愛くださいませ。

安らかなるご冥福を心よりお祈りいたします。」

注意すべき「忌み言葉」

お悔やみの言葉を綴る際には、「忌み言葉(いみことば)」を使わないように注意する必要があります。

忌み言葉とは、不幸が重なることや、不吉なことを連想させる言葉のことです。

  1. 重ね言葉:「重ね重ね」「たびたび」「くれぐれも」「ますます」など。不幸が重なることを連想させます。
  2. 繰り返す言葉:「再び」「追って」「引き続き」など。
  3. 直接的な表現:「死ぬ」「逝去」「生きていた頃」などは避け、「ご逝去」「お亡くなりになる」「ご生前」などの婉曲的な表現を使います。
  4. 不吉な数字:「四(死)」や「九(苦)」を連想させる言葉。

これらの忌み言葉を避けることは、お悔やみのメッセージにおける最低限のマナーです。

メッセージカードは、故人への最後の言葉であり、ご遺族の心を慰めるためのものです。

形式にとらわれすぎる必要はありませんが、最低限のマナーを守り、心を込めて言葉を選ぶことが何よりも大切です。

もし添える場合は、胡蝶蘭を注文する際に生花店に相談すれば、カードを用意してくれることがほとんどです。

まとめ:故人を偲ぶ気持ちを込めた葬儀の胡蝶蘭の鉢植え選び

これまで、葬儀の胡蝶蘭の鉢植えを贈る際のマナーや注意点について、さまざまな角度から解説してきました。

タイミング、色、値段、立て札、宗教上の配慮、そして葬儀後のことまで、考えるべき点は多岐にわたります。

しかし、これらのマナーやルールは、すべて一つの目的のためにあります。

それは、「故人への深い哀悼の意を表し、悲しみの中にいるご遺族の心に寄り添う」ということです。

マナーを知らないことで、意図せずご遺族に不快な思いをさせたり、余計な負担をかけてしまったりすることを防ぐために、私たちはこれらの知識を学びます。

たとえば、供花辞退の意向を無視して贈ってしまうのは、自分の「贈りたい」という気持ちを優先し、相手の気持ちを無視していることになります。

キリスト教の葬儀に、確認もせず鉢植えを贈ってしまうのも同様です。

一方で、マナーに縛られすぎる必要もありません。

最も重要なのは、故人を心から悼み、ご遺族を思いやる気持ちです。

その気持ちがあれば、おのずと丁寧な対応になるはずです。

もし分からないことや不安なことがあれば、一人で判断せずに、葬儀社や生花店の専門スタッフに相談しましょう。

彼らは多くの葬儀に携わってきたプロフェッショナルであり、適切なアドバイスをくれるはずです。

この記事で得た知識が、あなたの深いお悔やみの気持ちを、最もふさわしい形で故人とご遺族に届けるための一助となれば幸いです。

最終的に、あなたが選んだ一本の胡蝶蘭が、悲しみの場に静かな慰めと敬意をもたらすことを心より願っています。

この記事のまとめ
  • ➤葬儀の胡蝶蘭の鉢植えは故人への弔意を示す供花
  • ➤贈るタイミングはお通夜の前が理想的
  • ➤色は清浄と哀悼を表す白色が基本マナー
  • ➤相場は関係性により1万5千円から5万円程度
  • ➤一般的なのは2万円から3万円の白い3本立て
  • ➤立て札の頭書きは「供」が無難で使いやすい
  • ➤贈り主の名前は会社名や連名でも記載可能
  • ➤キリスト教式では鉢植えを避ける場合があるため要確認
  • ➤ご遺族が供花を辞退した場合は贈らないのが鉄則
  • ➤弔意は弔電やお悔やみの手紙でも伝えられる
  • ➤斎場や自宅のスペースを考慮し大きすぎないものを選ぶ配慮も大切
  • ➤葬儀後の鉢植えの管理や処分は遺族の負担になり得る
  • ➤忌み言葉を避けお悔やみのメッセージカードを添えてもよい
  • ➤不明な点は葬儀社や生花店に相談するのが確実
  • ➤最も大切なのは故人を偲び遺族を思いやる心

 

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