胡蝶蘭は冠婚葬祭の贈り物！マナーを守る選び方ガイド

胡蝶蘭は、その優美な姿と品格から、人生の節目を彩る贈り物として広く知られています。

しかし、胡蝶蘭は冠婚葬祭というフォーマルな場面で用いられることが多いため、贈る際には正しい知識とマナーが求められます。

特に、お祝いのシーンとお供えのシーンでは、胡蝶蘭の選び方や贈り方が大きく異なるため、知らずに贈ってしまうと、かえって失礼にあたる可能性も否定できません。

お祝いの気持ちや、お悔やみの心を正しく伝えるために、立て札の書き方や適切なラッピングの知識も欠かせません。

色選び一つとっても、その場にふさわしいものとそうでないものがあるのです。

胡蝶蘭という素晴らしい贈り物が、あなたの真心を届け、より良い人間関係を築く一助となるよう、失敗しないためのポイントを詳しく見ていきましょう。

胡蝶蘭は冠婚葬祭で贈る花の代表格

お祝いシーンでの胡蝶蘭の選び方

お祝いの気持ちを表現する際に、胡蝶蘭は非常に人気の高い選択肢です。

その豪華さと気品は、開店祝い、開業祝い、就任祝い、昇進祝い、新築祝い、さらには選挙の当選祝いなど、様々な慶事を華やかに彩ってくれます。

しかし、ただ贈れば良いというわけではなく、シーンに応じた適切な選び方が存在します。

まず考慮すべきは、胡蝶蘭の色です。

最も一般的で、どのようなお祝いにも安心して贈れるのが「白」の胡蝶蘭でしょう。

白色は「純粋」「清純」といった花言葉を持ち、清潔感と格調高さを感じさせるため、特にビジネス関係のお祝いでは定番となっています。

次に人気なのが「ピンク」の胡蝶蘭です。

ピンク色は華やかで優しい印象を与え、女性が経営するお店の開店祝いや、個人の新築祝い、母の日などのプレゼントにも喜ばれます。

また、白地に赤いリップ（中心部分）が入った「赤リップ」と呼ばれる品種も人気があります。

紅白の色合いが縁起が良いとされ、選挙の当選祝いや、周年記念など、特におめでたい雰囲気を強調したい場面で選ばれることが多いようです。

次に考えるべきは、胡蝶蘭のサイズや本数です。

胡蝶蘭は、1つの鉢に複数の株が寄せ植えされており、「3本立て」「5本立て」といった形で販売されています。

本数が多くなるほど、花の輪数も増え、より豪華でボリュームのある見た目になります。

一般的なお祝いであれば3本立てが主流ですが、特に重要なお取引先の就任祝いや、盛大なパーティーへのお祝いなど、他と差をつけたい場合には5本立て以上のものが選ばれることもあります。

ただし、贈り先のスペースを考慮することも忘れてはなりません。

個人宅や比較的小規模な店舗へ贈る場合、あまりに大きな胡蝶蘭はかえって迷惑になってしまう可能性もあります。

お祝いシーンでの胡蝶蘭選びは、色とサイズのバランス、そして贈り先の状況を総合的に判断することが成功の鍵となります。

花言葉も参考にしつつ、相手への祝福の気持ちが最も伝わる一鉢を選びたいものですね。

例えば、黄色い胡蝶蘭は金運や商売繁盛をイメージさせるため、開店祝いに選ばれることもありますが、シーンによっては白やピンクが無難な選択と言えるでしょう。

お祝いの種類と推奨される胡蝶蘭

お祝い事の種類によって、最適な胡蝶蘭のスタイルは少しずつ異なります。

例えば、企業の社長就任祝いであれば、企業のコーポレートカラーに合わせた色の胡蝶蘭を選ぶと、より心のこもった贈り物として印象に残るかもしれません。

また、病院の開院祝いなどでは、清潔感が最も重要視されるため、純白の胡蝶蘭が最もふさわしいと考えられます。

飲食店の開店祝いでは、華やかなピンクや赤リップが店内の雰囲気を明るくするため、喜ばれる傾向にあります。

このように、相手の業種やお店のコンセプト、そしてお祝いの規模感をリサーチした上で選ぶことが、心遣いの表れとなるのです。

ビジネスシーンで贈る胡蝶蘭のマナー

ビジネスシーンにおいて胡蝶蘭を贈ることは、単なるお祝い以上の意味を持ちます。

それは、取引先との良好な関係を維持し、今後のさらなる発展を願う気持ちの表明であり、自社の品格を示す機会でもあるのです。

だからこそ、ビジネスシーンでのマナーは特に厳格に守る必要があります。

最も重要なのが、贈るタイミングです。

例えば、取引先の新社屋移転祝いであれば、移転先の業務開始日の前日、あるいは当日の午前中に届くように手配するのが一般的です。

業務開始直後は多忙を極めるため、その時間帯を避ける配慮が求められます。

開店祝いの場合も同様に、開店日の前日か当日の朝がベストタイミングと言えるでしょう。

就任祝いの場合は、就任の知らせを受けてから、なるべく早く贈るのがマナーですが、正式な就任日以降に届くように手配します。

次に重要なのが「立て札」です。

ビジネスシーンで贈られる多くの胡蝶蘭には、誰から誰への贈り物なのかを明記した立て札が添えられています。

この立て札には、お祝いの言葉である「祝」や「御祝」を赤字で大きく書き、その横に贈り主である自社の会社名と代表者名を記載します。

相手の会社名や役職、氏名を記載する場合もありますが、スペースの都合や贈り先の意向もあるため、どちらを主にするかは状況に応じて判断が必要です。

特に、社名や役職、氏名を絶対に間違えないことは、ビジネスにおける最低限の礼儀です。

発送前に何度も確認することが欠かせません。

法人ギフトとしての価格帯と選び方

法人ギフトとして胡蝶蘭を贈る際の値段相場は、個人で贈る場合よりも高くなる傾向があります。

一般的な取引先へのお祝いであれば、2万円から3万円程度の3本立ての胡蝶蘭が最も多く選ばれています。

これは、見栄えの良さと価格のバランスが取れているためです。

一方で、非常に重要なお得意様や、長年のパートナー企業の記念式典など、特別な関係性を示すべき場面では、5万円以上の5本立てや、それ以上に豪華な胡蝶蘭が選ばれることも少なくありません。

他の企業からも多くの花が届くことが予想されるため、その中で埋もれてしまわないように、という配慮も含まれています。

ただし、不必要に高価すぎる贈り物は、かえって相手に気を遣わせてしまう可能性もあるため注意が必要です。

相手との関係性を考慮し、常識の範囲内で最適な価格帯の胡蝶蘭を選ぶことが、スマートなビジネスコミュニケーションと言えるでしょう。

また、法人ギフトの場合、領収書の宛名や但し書きの指定など、経理処理上の手続きもスムーズに行えるよう、信頼できる販売店を選ぶことも重要なポイントです。

お供えとして贈る胡蝶蘭の色の意味

胡蝶蘭は、お祝い事だけでなく、お悔やみの気持ちを伝えるお供えの花としても用いられます。

故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちを表すのに、胡蝶蘭の静かで気高い佇まいは非常にふさわしいと言えるでしょう。

しかし、お供えとして贈る場合には、お祝いの時とは全く異なるマナーが存在します。

最も重要なのは、色の選び方です。

お供え用の胡蝶蘭は、故人への哀悼の意を表すために、純粋で清らかな「白」を選ぶのが絶対的な基本です。

ピンクや赤リップなど、色付きの胡蝶蘭は華やかさがあるため、お悔やみの場にはふさわしくないとされています。

特に、故人が亡くなってから日が浅い「四十九日」までは、必ず白の胡蝶蘭を贈るのがマナーです。

白い胡蝶蘭は、故人の冥福を祈る清らかな心や、ご遺族の悲しみに寄り添う静かな気持ちを象徴しています。

四十九日を過ぎた後の法事や、年忌法要、あるいは故人が生前ピンク色が好きだったなど、特別な事情がある場合に限り、淡い色の胡蝶蘭が選ばれることもありますが、基本的には白が無難であり、最も丁寧な選択です。

また、お供えの場合、ラッピングも控えめなものを選ぶ必要があります。

紫や緑、あるいは白といった落ち着いた色のラッピングを選び、金色のリボンなど派手な装飾は避けるべきです。

販売店に「お供え用」であることを伝えれば、ふさわしいラッピングを施してくれます。

宗教・宗派による違いと注意点

お供えの花を贈る際には、相手方の宗教や宗派に配慮することも大切です。

仏教の多くの宗派では胡蝶蘭をお供え花として用いることに問題はありませんが、例えばキリスト教の場合、お供えの習慣が少し異なります。

キリスト教では、葬儀の際に教会へ花を贈るのではなく、故人の自宅へ「ホームフラワー」としてバスケットなどにアレンジされた花を贈ることが一般的です。

この場合、鉢植えの胡蝶蘭ではなく、切り花のアレンジメントが好まれる傾向にあります。

また、神道の場合も、白い花を基調としたアレンジメントが一般的です。

もし相手方の宗教がわからない場合は、白の胡蝶蘭を贈るのが最も無難ですが、可能であれば事前に葬儀社やご遺族の関係者に確認を取ると、より安心です。

さらに、ご遺族の意向で「ご供花ご辞退」とされているケースも増えています。

その場合は、お花を贈りたいという気持ちはありがたく受け止めつつも、ご遺族の負担を考え、贈るのを控えるのがマナーです。

お悔やみの気持ちは、花を贈ることだけで伝わるわけではありません。

相手の状況を最大限に尊重する姿勢が、何よりも大切なのです。

個人間で胡蝶蘭を贈る際の注意点

胡蝶蘭はビジネスシーンだけでなく、家族や友人、知人といった個人間で贈られることも多い花です。

母の日や父の日、敬老の日、誕生日、退職祝い、新築祝いなど、様々なプライベートな記念日を祝うのに、胡蝶蘭の特別感はぴったりです。

個人間で贈る場合、ビジネスシーンほど厳格なマナーに縛られることはありませんが、それでも相手に喜んでもらうためのいくつかの注意点があります。

まず、贈り先のスペースを十分に考慮することです。

ビジネスの開店祝いのように広いスペースが確保されているわけではないため、一般的な家庭に飾ることを想定し、大きすぎないサイズを選ぶのが親切です。

3本立てでも、花の輪数が少ないコンパクトなミディ胡蝶蘭や、テーブルにも飾れる小ぶりなタイプが人気です。

色選びも、ビジネスシーンより自由度が高まります。

相手の好きな色や、部屋のインテリアに合いそうな色を選んであげると、よりパーソナルな贈り物として喜ばれるでしょう。

ピンク、黄色、紫、あるいは珍しい青や緑の胡蝶蘭など、選択肢は豊富です。

メッセージカードも、定型的な立て札ではなく、自分の言葉で気持ちを綴ったカードを添えるのがおすすめです。

「お誕生日おめでとう」「いつもありがとう」といった素直な言葉が、何よりのプレゼントになります。

手入れのしやすさも考慮する

個人に贈る際に忘れてはならないのが、その後の手入れについてです。

胡蝶蘭は比較的育てやすい植物ですが、それでも基本的な知識は必要です。

普段あまり植物を育てない方に贈る場合は、育て方の簡単なガイドを一緒に添えたり、水やりの頻度が少なく済む品種を選んだりする配慮があると、より親切です。

最近では、給水システムが工夫された鉢や、長期間美しさを保つ加工がされた胡蝶蘭も登場しています。

相手に手入れの負担をかけさせず、長く花を楽しんでもらいたいという気持ちを込めて、そうした商品を選ぶのも一つの良い方法です。

また、贈る前にアレルギーの有無などをさりげなく確認しておくことも、親しい間柄ならではの心遣いと言えるでしょう。

個人間の贈り物は、形式よりも「相手を思う気持ち」が最も大切です。

相手のライフスタイルや好みを想像しながら、心を込めて選んだ一鉢は、きっと特別な思い出として残るはずです。

立て札とラッピングで気持ちを伝える

胡蝶蘭を贈る際に、花そのものと同じくらい重要な役割を果たすのが「立て札」と「ラッピング」です。

これらは、贈り主の気持ちを明確に伝え、贈り物をより一層引き立てるための大切な要素です。

特に、多くの花が届けられるビジネスシーンでは、立て札がなければ誰からの贈り物か分からなくなってしまいます。

立て札には、大きく分けて「木札」「紙札」の2種類があります。

木札は高級感があり、よりフォーマルな印象を与えるため、法人間の贈り物や、特別なお祝いの際に用いられることが多いです。

一方、紙札はややカジュアルな印象になりますが、友人へのプレゼントや、個人のお祝いなどでは一般的に使用されます。

立て札に記載する内容は、お祝いの場合とお悔やみの場合で異なります。

ラッピングも、シーンによって使い分ける必要があります。

お祝い事であれば、金色や赤、ピンクなど、華やかで明るい色のラッピングを選びます。

リボンも大きく豪華なものを選ぶと、お祝いムードが高まります。

一方、お供えの場合は、紫や緑、グレー、白といった落ち着いた寒色系のラッピングが基本です。

リボンは付けないか、付けるとしても非常に控えめなものにします。

ラッピングの色一つで贈り物の意図が全く異なって見えてしまうため、注文時には必ず用途を正確に伝えることが重要です。

多くのオンラインショップや生花店では、用途に応じた立て札とラッピングのサンプルを用意しているので、それらを参考に選ぶと間違いがありません。

心を込めて選んだ胡蝶蘭が、最高の形で相手に届くよう、最後の仕上げまで気を配りたいものですね。

胡蝶蘭を冠婚葬祭で失敗しないための知識

慶事と弔事で異なる胡蝶蘭の値段相場

胡蝶蘭を贈る際に、多くの人が気になるのが値段の相場でしょう。

胡蝶蘭の価格は、主に「本数（株の数）」「花の輪数」「花の大きさ」「品種」によって決まります。

当然ながら、本数が多く、一本当たりの花の数が多く、花びらが大きいものほど高価になります。

そして、この値段相場は、慶事（お祝い事）と弔事（お悔やみ事）で少し異なります。

慶事（お祝い事）の値段相場

お祝い事で贈られる胡蝶蘭は、華やかさや見栄えが重視されるため、比較的高価なものが選ばれる傾向にあります。

以下は、一般的な慶事における値段の目安です。

用途	値段相場	推奨されるスタイル
友人・知人へのお祝い	10,000円～20,000円	ミディ胡蝶蘭、3本立て（小輪）
一般的なビジネスギフト	20,000円～30,000円	3本立て（大輪）
重要な取引先へのお祝い	30,000円～50,000円	5本立て（大輪）
特に盛大なお祝い	50,000円以上	5本立て以上、特注品

ビジネスシーンでは、安価すぎる胡蝶蘭はかえって失礼にあたる場合があるため、最低でも2万円以上のものを選ぶのが一般的です。

弔事（お悔やみ事）の値段相場

一方、弔事で贈る胡蝶蘭は、故人を偲び、静かに哀悼の意を示すものであるため、過度に豪華なものは避けるのがマナーとされています。

そのため、慶事の場合よりも少し控えめな価格帯のものが選ばれることが多いようです。

用途	値段相場	推奨されるスタイル
通夜・告別式へのお供え	15,000円～30,000円	白の3本立て
四十九日や周忌法要	10,000円～20,000円	白の2本立てまたは3本立て
個人宅へのお供え	10,000円～15,000円	白のミディ胡蝶蘭など

弔事の場合、値段の高さよりも、心を込めて選んだという気持ちと、マナーを守ることが重要視されます。

これらの相場はあくまで目安であり、最終的には贈り主の予算や、相手との関係性を考慮して決定することが大切です。

贈るタイミングで変わる胡蝶蘭の種類

胡蝶蘭を贈る効果を最大限に高めるためには、その内容だけでなく、贈る「タイミング」が極めて重要です。

適切なタイミングを逃すと、せっかくの贈り物が相手の迷惑になったり、お祝いムードを損ねたりする可能性すらあります。

そして、そのタイミングによって、選ぶべき胡蝶蘭の種類やサイズも変わってきます。

開店・開業祝いのタイミング

お店やオフィスの新規オープンに贈る場合、最も良いタイミングは「オープン前日」です。

前日であれば、当日の慌ただしさを避けて受け取ってもらえ、開店準備の最終段階で華やかな花を飾ることができます。

もし前日の配送が難しい場合は、「オープン当日の午前中」までに届くように手配しましょう。

このタイミングでは、店の入り口や受付に飾られることを想定し、道行く人の目も引くような、ある程度ボリュームのある3本立てや5本立ての大輪胡蝶蘭が選ばれることが多いです。

就任・昇進祝いのタイミング

役員の就任や昇進のお祝いは、正式な辞令が発表されてから贈るのがマナーです。

内定の段階で贈るのは絶対に避けましょう。

知らせを受けたら、できるだけ早く、できれば就任日から1週間以内に届くように手配するのが一般的です。

この場合、執務室などに飾られることが多いため、あまり大きすぎない3本立てなどが好まれます。

お供えのタイミング

お悔やみの花を贈るタイミングは、より慎重な配慮が求められます。

訃報を受けてすぐ、お通夜の前に贈るのは避け、早くても「お通夜が始まる前」から「告別式が始まる前」の間に斎場に届くように手配します。

このタイミングを逃した場合は、ご自宅の落ち着く頃合いを見計らい、初七日や四十九日までの間に贈るのが良いでしょう。

四十九日を過ぎてから贈る場合は、法要の日に合わせて贈ります。

葬儀斎場へ贈る場合は、他の供花とのバランスも考えた標準的なサイズの白い胡蝶蘭を、法要などでご自宅へ贈る場合は、スペースを考慮した少し小ぶりなミディタイプなどを選ぶと良いでしょう。

タイミングを計る上で最も確実なのは、贈り先に直接確認することです。

特にビジネスシーンや弔事では、事前に担当者や葬儀社に連絡を取り、受け取り可能な日時を確認しておくことが、相手への最大の配慮となります。

お祝い事で避けるべき胡蝶蘭とは

お祝いの気持ちを伝えるための胡蝶蘭が、意図せずして相手を不快にさせてしまうことがないよう、避けるべきポイントも知っておく必要があります。

マナー違反とされる胡蝶蘭を贈ってしまうと、せっかくの祝福ムードに水を差しかねません。

まず、最も注意すべきなのが「色」です。

お祝い事、特に開店祝いや新築祝いなどでは、火事や赤字を連想させる「真っ赤」なラッピングや、赤一色の花は避けるのが無難とされています。

ただし、これは縁起を担ぐ上での慣習であり、コーポレートカラーが赤である場合や、相手が赤色を好んでいることが分かっている場合は、この限りではありません。

それでも、心配な場合は白やピンク、赤リップといった定番の色を選ぶのが賢明です。

次に、「サイズ」の問題です。

前述の通り、贈り先のスペースを考えずに、過度に大きな胡蝶蘭を贈るのは避けるべきです。

特に個人宅や、カウンター席がメインの小規模な飲食店などでは、大きな鉢植えは置き場所に困り、かえって迷惑になってしまいます。

良かれと思ってしたことが、相手の負担になっては元も子もありません。

また、花の「状態」にも注意が必要です。

花がしおれていたり、葉に傷がついていたりする胡蝶蘭を贈るのは論外です。

信頼できる店舗を選び、配送前に花の写真を送ってもらうサービスなどを利用すると、品質を確認できて安心です。

縁起が悪いとされる本数や数字

数字の語呂合わせや縁起を気にする文化は、日本に根強く存在します。

お祝い事で贈る胡蝶蘭の本数についても、いくつかのタブーがあります。

例えば、「4（死）」や「9（苦）」といった数字は、お祝い事では避けるべきとされています。

胡蝶蘭は通常、3本立て、5本立て、7本立てといった奇数で仕立てられます。

これは、奇数が割り切れないことから「縁が切れない」縁起の良い数字とされているためです。

そのため、4本立てや9本立てといった胡蝶蘭は、通常のお祝いギフトとしては流通していません。

同様に、花の輪数についても、縁起を担ぐことがあります。

あまりに輪数が少ないと寂しい印象を与えてしまうため、ある程度のボリュームがあるものを選ぶのが一般的です。

これらのタブーは、気にしない人もいるかもしれませんが、フォーマルな贈り物である以上、万人が不快に思わないような配慮をすることが、贈り主の品格を示す上で大切です。

お悔やみで守るべき胡蝶蘭のタブー

お悔やみの場で胡蝶蘭を贈る際は、お祝いの時以上に細やかな配慮と、守るべきタブーが存在します。

故人を偲び、遺族を慰めるという目的から外れた行為は、厳に慎まなければなりません。

まず、最大のタブーは「派手な色やラッピング」です。

お供えの胡蝶蘭は、白が基本です。

ピンクや黄色などの色花、また金や赤などのお祝いを連想させる派手なラッピングは絶対にご法度です。

ご遺族の悲しみに寄り添う場であることを忘れず、あくまでも控えめで、清らかな印象のものを贈る必要があります。

次に、「立て札の表書き」にも注意が必要です。

お祝いの言葉である「祝」などの文字はもちろんのこと、赤字で名前を書くこともマナー違反です。

お供えの立て札は、すべて黒字で書くのが基本です。

また、宗教によって表書きが異なります。

仏式では「御供」「御霊前」（四十九日前）、「御仏前」（四十九日後）などが使われますが、キリスト教や神式では「御霊前」は使いません。

宗教が不明な場合は、どの宗教でも共通して使える「御供」としておくのが最も無難です。

贈る前に必ず確認すべきこと

お悔やみの花を贈る前に、必ず確認しておきたい点がいくつかあります。

その一つが、ご遺族が「供花を辞退」していないかどうかです。

最近では、家族葬の増加などに伴い、香典や供花を辞退されるケースが増えています。

訃報の連絡や葬儀の案内に「誠に勝手ながら御香典御供花の儀は固くご辞退申し上げます」といった一文がないか、必ず確認しましょう。

辞退の意向が示されているにも関わらず花を贈ってしまうと、ご遺族に対応の手間を取らせてしまい、かえってご負担をかけてしまいます。

また、斎場に贈る場合は、斎場のルールも確認が必要です。

斎場によっては、指定の生花店以外の花の持ち込みを禁止している場合や、受け入れ可能な花のサイズに制限がある場合があります。

事前に葬儀社や斎場に直接問い合わせて、胡蝶蘭を贈っても問題ないか、また受け取り可能な時間帯などを確認しておくことが、トラブルを避けるために不可欠です。

お悔やみの気持ちは、こうした一つ一つの丁寧な確認作業と配慮にこそ表れるのです。

通販サイトを利用するメリットと注意点

近年、胡蝶蘭を購入する方法として、インターネットの専門通販サイトを利用する人が増えています。

通販サイトには、街の生花店にはない多くのメリットがある一方で、利用する際にはいくつかの注意点も存在します。

通販サイトを利用するメリット

通販サイトの最大のメリットは、その「品揃えの豊富さ」と「利便性」にあります。

通販サイトを利用する際の注意点

便利な通販サイトですが、顔が見えない取引だからこその注意点もあります。

最も重要なのは、信頼できるサイトを選ぶことです。

あまりに価格が安すぎるサイトや、会社の情報が詳しく記載されていないサイトは避けるべきです。

口コミやレビューを参考にしたり、特定商取引法に基づく表記がしっかりしているかを確認したりしましょう。

また、配送可能エリアや、注文から配送までの日数も必ず確認が必要です。

特に急ぎで必要な場合は、即日発送に対応しているかなどをチェックします。

胡蝶蘭は生き物であるため、配送中のトラブルに対する保証制度が整っているかも、優良なサイトを見極めるポイントの一つです。

立て札の記載内容やラッピングの指定など、細かい要望を伝える際には、入力ミスがないように何度も確認することが大切です。

これらのメリットと注意点を理解した上で賢く通販サイトを利用すれば、胡蝶蘭選びはより手軽で満足度の高いものになるでしょう。

まとめ：胡蝶蘭は冠婚葬祭の心を伝える贈り物

これまで見てきたように、胡蝶蘭は冠婚葬祭という、私たちの人生における特別な瞬間に寄り添う、非常に意味深い花です。

お祝いの場では、その華麗な姿で喜びを増幅させ、お悔やみの場では、その静謐な佇まいで深い哀悼の意と慰めを表現してくれます。

しかし、その素晴らしい力を最大限に発揮させるためには、それぞれのシーンにふさわしいマナーやルールを理解し、守ることが不可欠です。

色、本数、値段、立て札、ラッピング、そして贈るタイミング。

これら一つ一つの要素に心を配ることが、相手への敬意や思いやりを示すことに繋がります。

特に、お祝い事と弔事では、そのマナーが大きく異なるため、混同しないように注意が必要です。

ビジネスシーンでは、会社の品格を背負ったフォーマルな贈り物として、個人間では、よりパーソナルな気持ちを込めた特別なプレゼントとして、胡蝶蘭は様々な顔を見せてくれます。

胡蝶蘭は冠婚葬祭において、単なる花ではなく、言葉以上に雄弁に心を伝えてくれる、最高のメッセンジャーなのです。