胡蝶蘭の花言葉と葬式のマナー|お供えの基本を解説

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ご遺族のもとに訃報が届き、故人を偲んでお悔やみの気持ちを伝えたいとき、どのような供花を選べばよいか悩む方は少なくありません。

特に、格式高く見栄えのする胡蝶蘭は、お祝いのイメージが強い一方で、葬儀の場でもよく見かけるため、贈っても良いものか判断に迷うことがあるでしょう。

この記事では、胡蝶蘭の花言葉と葬式の関係性に焦点を当て、お悔やみの場で胡蝶蘭を贈る際に知っておくべき包括的な情報を提供します。

葬儀における供花の基本的なマナーから、白い胡蝶蘭が持つ意味、適切な相場や贈るタイミング、そして宗教による考え方の違いまで、あらゆる疑問にお答えします。

故人への深い弔意と、悲しみの中にいる遺族への慰めの気持ちを正しく伝えるために、ぜひ本記事をお役立てください。

立て札や名札の書き方、49日や四十九日といった法要でのお供えの可否、さらにはキリスト教式の場合の注意点など、具体的なシーンを想定した解説も盛り込んでいます。

清純な白い花で故人を見送り、遺族の心に寄り添うための知識を深めていきましょう。

この記事でわかること
  • ➤胡蝶蘭が葬儀に選ばれる理由とその花言葉
  • ➤供花として贈る際の基本的なマナー
  • ➤胡蝶蘭の相場と選び方のポイント
  • ➤立て札の正しい書き方と文例
  • ➤贈るタイミングと49日など法要での注意点
  • ➤宗教による供花の考え方の違い
  • ➤遺族に配慮した胡蝶蘭の贈り方

 

胡蝶蘭の花言葉と葬式に贈る際のマナー

この章のポイント
  • ➤葬儀にふさわしい白い胡蝶蘭の清純な花言葉
  • ➤供花として胡蝶蘭を贈る意味と役割
  • ➤押さえておくべき胡蝶蘭を贈る際のマナー
  • ➤葬儀に贈る胡蝶蘭の金額相場とは?
  • ➤49日のお供えに胡蝶蘭は適切か

葬儀にふさわしい白い胡蝶蘭の清純な花言葉

葬儀の場に花を贈る際、その花が持つ「花言葉」は、故人や遺族へのメッセージとして重要な意味を持ちます。

胡蝶蘭には様々な花言葉がありますが、お悔やみの場面で特に重要視されるのが、白い胡蝶蘭に与えられた「清純」という花言葉です。

この言葉は、汚れがなく純粋な心や姿を象徴しており、故人の清らかな人柄を偲び、その安らかな眠りを願う気持ちを表すのにこれ以上ないほどふさわしいと言えるでしょう。

胡蝶蘭全体の花言葉としては「幸福が飛んでくる」というものがあり、主にお祝い事で用いられますが、葬儀の文脈では、花の色が持つ意味合いがより強く解釈されるのが一般的です。

日本では、白という色は古くから神聖なものとされ、同時に弔意を示す色としても認識されてきました。

祭壇が白木で作られたり、白装束が用いられたりするように、白は故人の魂の旅立ちを清らかに見送るための色なのです。

そのため、白い胡蝶蘭を供花として選ぶ行為は、単に美しい花を贈るだけでなく、「清純」という花言葉を通じて故人への敬意と哀悼の意を深く伝えるための、理にかなった選択となります。

凛とした佇まいで咲く白い胡蝶蘭の姿は、悲しみに沈む場の雰囲気を乱すことなく、静かで厳かな弔いの空間を演出します。

その気品ある美しさは、遺族の心を慰め、故人への最後の敬意を表すのにふさわしい品格を備えているのです。

胡蝶蘭の花言葉と葬式の関係を考えるとき、この「清純」というキーワードが、なぜ胡蝶蘭が供花として選ばれ続けるのかを理解する上で最も重要な要素であると言えるでしょう。

供花として胡蝶蘭を贈る意味と役割

供花(きょうか・くげ)とは、葬儀や法要の際に故人への追悼の意を込めて祭壇の周りにお供えする花のことです。

この供花には、いくつかの大切な意味と役割があります。

まず第一に、故人の霊を慰め、弔意を表明するためのものです。

花を供えるという行為を通じて、故人への感謝や尊敬の気持ちを形にし、安らかな眠りを祈ります。

第二に、祭壇や葬儀会場を飾り、厳粛な儀式の場を整えるという役割です。

特に胡蝶蘭のような格調高い花は、祭壇を華やかに彩りながらも、厳かな雰囲気を損なうことなく、故人を偲ぶ空間の品位を高めます。

第三に、供花は故人や遺族と生前に親しかった人々からの弔意の証となります。

会場に並んだ供花の数々や、そこに記された贈り主の名前は、故人がどれだけ多くの人から慕われていたかを示し、遺族にとって大きな慰めとなることがあります。

このような供花の役割の中で、胡蝶蘭は特に優れた選択肢とされています。

その理由は、見た目の格調高さや美しさだけではありません。

胡蝶蘭は花粉や香りが少なく、アレルギーの心配がほとんどないため、多くの人が集まる葬儀会場や、衛生面に配慮が必要なご自宅へのお供えにも適しています。

また、生命力が強く、水やりの手間があまりかからないため、葬儀後の忙しい時期にある遺族に負担をかけにくいという利点もあります。

日持ちがするため、葬儀から四十九日の法要まで長く飾り続けることができ、故人を偲ぶ時間を静かに見守ってくれます。

このように、供花としての胡蝶蘭は、故人への弔意、会場の荘厳さの演出、そして遺族への配慮という、供花に求められる複数の意味と役割を高いレベルで満たすことができるのです。

だからこそ、胡蝶蘭は法人・個人を問わず、お悔やみの気持ちを伝えるための供花として、広く信頼され、選ばれ続けていると言えるでしょう。

押さえておくべき胡蝶蘭を贈る際のマナー

胡蝶蘭を葬儀の供花として贈る際には、失礼にあたらないよう、いくつかの重要なマナーを守る必要があります。

故人への最後の敬意を表し、遺族に不快な思いをさせないために、以下の点を必ず確認しましょう。

ラッピングの選び方

お祝い事とは異なり、お悔やみの場で贈る胡蝶蘭のラッピングは、控えめで落ち着いた色を選ぶのが鉄則です。

紫や緑、紺、グレー、あるいは白といった寒色系や無彩色のラッピングペーパーを選びましょう。

リボンも同様に、派手な色やデザインは避け、ラッピングに合わせた落ち着いた色のものを選ぶか、あるいはリボンを付けないのが無難です。

金色や銀色のリボン、赤やピンクといったお祝いを連想させる色は絶対に避けなければなりません。

花屋で「お悔やみ用」と伝えれば、適切なラッピングをしてもらえます。

贈り主が複数人の場合

会社や部署、友人一同など、連名で胡蝶蘭を贈るケースも多くあります。

その場合、立て札の書き方に注意が必要です。

一般的に、3名程度までであれば全員の名前を記載します。

序列がある場合は、右から順に目上の人の名前を書くのがマナーです。

4名以上になる場合は、「〇〇株式会社 営業部一同」や「友人一同」のように、団体名やグループ名でまとめ、代表者の名前を記載するか、あるいは詳細は別紙に記載して添えるのがスマートな方法です。

贈り主が誰であるかを明確に伝えることは重要ですが、立て札が名前で埋め尽くされて見苦しくならないよう配慮することが求められます。

遺族の意向の確認

最も重要なマナーの一つが、事前に遺族の意向を確認することです。

最近では、家族葬などの小規模な葬儀が増えており、遺族の意向で「供花・香典辞退」としている場合があります。

また、会場のスペースの都合で供花の受け取りを制限しているケースも考えられます。

訃報の連絡を受けた際や、葬儀の案内状に供花辞退の記載がないか必ず確認しましょう。

もし記載がなくても、念のため葬儀社や遺族に近い親族に問い合わせて確認すると、より丁寧です。

良かれと思って贈った花が、かえって遺族の負担になってしまう事態を避けることが、最大の配慮でありマナーと言えるでしょう。

葬儀に贈る胡蝶蘭の金額相場とは?

葬儀に胡蝶蘭を贈る際の金額相場は、故人との関係性や、個人として贈るか、法人として贈るかによって変動します。

適切な価格帯の胡蝶蘭を選ぶことは、弔意を適切に表現し、同時に遺族に余計な気遣いをさせないための重要なポイントです。

個人で贈る場合の相場

親族や親しい友人・知人など、個人として胡蝶蘭を贈る場合の相場は、一般的に1万円から3万円程度です。

この価格帯であれば、見栄えのする3本立ての胡蝶蘭を選ぶことができます。

特に親しい間柄であったり、深い弔意を示したい場合には、3万円から5万円程度のより豪華な5本立てなどを選ぶこともあります。

ただし、あまりに高額なものを贈ると、かえって遺族が香典返しなどで恐縮してしまう可能性もあるため、関係性を考慮して常識の範囲内で選ぶことが大切です。

法人として贈る場合の相場

会社として、取引先の役員やそのご家族の葬儀に胡蝶蘭を贈る場合、個人で贈るよりも少し高めの価格帯が選ばれる傾向にあります。

一般的な相場は、2万円から5万円程度です。

この価格帯になると、3本立てでも花の輪数が多く、より見栄えのする胡蝶蘭や、豪華な5本立てのものが選択肢に入ります。

特に重要な取引先や、会社の代表として贈る場合には、他の企業から贈られる花とのバランスも考慮し、見劣りしないよう、3万円以上のものを選ぶことが多いようです。

会社の慶弔規定などで予算が定められている場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

相場を左右する要素

胡蝶蘭の価格は、主に以下の要素によって決まります。

  • 立て数:鉢に植えられた茎の本数。3本立て、5本立てが主流で、本数が多いほど高価になります。
  • 輪数:1本の茎についている花の数。輪数が多いほど豪華で高価です。一般的に3本立てで30輪以上あると見栄えがします。
  • 花の大きさ:大輪、中輪、ミディなど花のサイズによっても価格が変わります。
  • 品質:花の並びの美しさや、葉の艶など、総合的な品質も価格に影響します。

これらの要素を考慮し、故人との関係性や予算に応じて、最適な胡蝶蘭を選ぶことが重要です。

相場を理解しておくことで、花屋で相談する際にもスムーズに希望を伝えることができます。

49日のお供えに胡蝶蘭は適切か

葬儀が終わった後も、故人を偲ぶ法要は続きます。

特に、故人の魂の行き先が決まるとされる四十九日(49日)の法要は、遺族にとって非常に重要な節目です。

この大切な法要の際に、お供えとして胡蝶蘭を贈ることは、果たして適切なのでしょうか。

結論から言うと、49日の法要に胡蝶蘭を贈ることは、マナーとして全く問題なく、むしろ非常に喜ばれることが多いです。

49日法要に胡蝶蘭が適している理由

葬儀の際に贈られた生花は、49日を迎える頃には枯れてしまうことがほとんどです。

そのため、法要に合わせて新たに美しい花をお供えすることは、祭壇を再び飾り、故人を敬う気持ちを表すことにつながります。

胡蝶蘭は日持ちが良く、適切な環境であれば1ヶ月以上美しい花を咲かせ続けるため、49日の法要に贈るのに非常に適しています。

また、故人が亡くなってから日が経ち、少しずつ落ち着きを取り戻し始める遺族の心を、その優雅な姿で癒やす効果も期待できるでしょう。

香りや花粉が少ないという特徴も、ご自宅で行われることが多い法要の場には最適です。

49日法要に贈る胡蝶蘭の選び方

49日法要に贈る胡蝶蘭を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。

  1. 色の選び方:基本は葬儀と同様に「白」を選ぶのが最も無難で、丁寧な印象を与えます。ただし、葬儀から日が経っているため、故人が好きだった色や、淡いピンクや黄色のリップ(中心部分に色がついたもの)など、少し色味のあるものを選んでも失礼にはあたりません。ただし、派手すぎる色や濃い赤などは避けるべきです。
  2. サイズの選び方:法要はご自宅で行われることが多いため、あまり大きすぎるものは置き場所に困る可能性があります。会場の規模がわからない場合は、大きすぎる大輪の5本立てなどよりは、飾りやすい3本立てや、ミディ胡蝶蘭などを選ぶと良いでしょう。
  3. 贈るタイミング:法要の前日までに届くように手配するのがベストです。当日は遺族も準備で忙しいため、前もって届けておくのが親切です。贈る際には、必ず事前に遺族に連絡を入れ、受け取りに都合の良い日時を確認しましょう。

胡蝶蘭を49日のお供えとして贈ることは、時が経っても故人を忘れずに想っているというメッセージを伝える素晴らしい方法です。

葬儀の時だけでなく、その後の大切な節目にも心を寄せることで、遺族との絆をより深いものにすることができるでしょう。

 

胡蝶蘭の花言葉と葬式で注意すべき点

この章のポイント
  • ➤故人への弔意を示す立て札の書き方
  • ➤宗教によるお供えの違いと胡蝶蘭の可否
  • ➤枕花として胡蝶蘭を贈るタイミング
  • ➤白以外はNG?胡蝶蘭の色の選び方
  • ➤遺族の負担にならないための配慮
  • ➤胡蝶蘭の花言葉と葬式の知識で弔意を伝える

故人への弔意を示す立て札の書き方

供花に添える立て札(たてふだ)は、誰から贈られた花なのかを明確にし、弔意を公式に表すための重要な役割を果たします。

特に、多くの供花が並ぶ葬儀会場では、立て札がなければ誰からの弔意か分からなくなってしまいます。

正しい書き方のマナーを理解し、失礼のないように手配しましょう。

立て札の基本的な構成

お悔やみ用の立て札には、大きく分けて2つの要素を記載します。

1. お悔やみの言葉(頭書き)

立て札の一番上に記載する、お悔やみの定型句です。「御供」や「供」と書くのが最も一般的です。四十九日以降の法要では「御仏前」、それ以前は「御霊前」という言葉も使われますが、宗教・宗派によって考え方が異なるため、どの場面でも使える「御供」としておくのが最も無難で間違いがありません。

2. 贈り主の名前

頭書きの下に、誰が贈ったのかを明確にするために贈り主の名前を記載します。個人名、連名、会社名など、贈り主に応じて書き方が異なります。

贈り主別の書き方具体例

以下に、贈り主のパターン別の書き方を紹介します。

【個人で贈る場合】

自分のフルネームを記載します。

例:「御供 山田太郎」

【夫婦連名で贈る場合】

夫の名前をフルネームで書き、その左側に妻の名前(名のみ)を記載します。

例:「御供 山田太郎 花子」

【会社として贈る場合】

正式名称で会社名を記載します。代表者名を入れる場合は、会社名の右側に少し小さめに役職を、中央に氏名を記載します。

例1:「御供 〇〇株式会社」

例2:「御供 〇〇株式会社 代表取締役 鈴木一郎」

【複数人(友人・同僚など)で贈る場合】

人数によって対応が変わります。

・3名程度まで:序列がある場合は右から順に、ない場合は五十音順で全員の氏名を記載します。

・4名以上の場合:「〇〇大学 友人一同」や「株式会社〇〇 営業部有志」のようにグループ名でまとめます。全員の名前を記載したい場合は、代表者の名前の左に「他一同」と書き添え、全員の名前を書いた紙を別途用意して花に添えるのが丁寧な方法です。

注意点

立て札は、花屋に依頼すれば用意してもらえます。注文する際に、お悔やみの言葉(頭書き)と贈り主名を正確に伝えましょう。特に会社名や役職、氏名は間違いがないよう、細心の注意を払う必要があります。FAXやメールで注文すると、文字の間違いを防ぎやすくなります。

宗教によるお供えの違いと胡蝶蘭の可否

日本で行われる葬儀の多くは仏式ですが、キリスト教式や神式の葬儀も行われます。

供花に関する考え方やマナーは宗教によって異なるため、故人や遺族の宗教に合わせて対応することが非常に重要です。

仏式の葬儀

最も一般的な仏式の葬儀では、胡蝶蘭を供花として贈ることに何の問題もありません。

白を基調とした胡蝶蘭や、菊、ユリなどを用いた籠花が祭壇に飾られます。

立て札を付けて斎場に直接送るのが一般的です。

ただし、浄土真宗など一部の宗派では、供花は「仏様への感謝」を表すものとされ、色鮮やかな花を用いることもあるなど、細かな違いが存在する場合もあります。

不安な場合は、葬儀を担当する葬儀社に確認するのが確実です。

キリスト教式の葬儀

キリスト教式の葬儀では、日本の仏式とは大きく異なる習慣があります。

最大の違いは、「供花」という概念がなく、祭壇に花を飾るのは基本的に教会と遺族が行うという点です。そのため、仏式のように斎場(教会)に立て札を付けた大きなスタンド花や鉢植えを送ることは、通常行いません。

もしお悔やみの花を贈りたい場合は、「枕花」として、あるいは葬儀後にご遺族の自宅へ送るのがマナーです。

その際、立て札ではなく、メッセージカードにお悔やみの言葉を書いて添えるのが一般的です。

花の種類としては、白いユリやカーネーションがよく用いられますが、胡蝶蘭も問題ありません。

ただし、十字架の形をしたフラワーアレンジメントなどは、プロテスタントかカトリックかによって意味合いが異なるため、避けた方が無難です。

神式の葬儀

神道で行われる神式の葬儀(神葬祭)でも、供花を贈る習慣はあります。

仏式と同様に、白い胡蝶蘭や菊、ユリなどが用いられます。

榊(さかき)が神聖なものとされるため、榊を供えることもあります。

基本的には仏式のマナーに準じて問題ありませんが、蓮の花は仏教を象徴するため、神式の葬儀では用いないのが一般的です。胡蝶蘭であれば、そのような心配はありません。

宗教が不明な場合

もし故人の宗教がわからない場合は、独断で手配せず、必ず葬儀社や遺族の関係者に確認することが大切です。

良かれと思ってしたことが、宗教的なマナー違反になってしまっては、故人にも遺族にも大変失礼にあたります。

特にキリスト教式の場合は習慣が大きく異なるため、事前の確認は必須と言えるでしょう。

枕花として胡蝶蘭を贈るタイミング

お悔やみの花には、葬儀の祭壇に飾る「供花」の他に、「枕花(まくらばな)」と呼ばれるものがあります。

枕花は、故人が亡くなられてからお通夜が始まるまでの間、ご遺体が安置されている枕元に供える花です。

故人に寄り添い、いち早く弔意を伝えるための大切な役割を持っています。

枕花を贈るタイミング

枕花を贈るタイミングは、訃報を受けたらすぐ、できるだけ早く手配するのが基本です。

理想的には、お通夜が始まる前までにご遺体が安置されている場所(ご自宅や斎場の安置室など)に届くようにします。

訃報を受けてからお通夜までは時間が限られているため、迅速な対応が求められます。

ただし、あまりに早すぎると遺族が取り込み中で対応できない可能性もあるため、花を手配する前に、必ず遺族に連絡を取り、枕花を贈りたい旨を伝え、受け取りが可能か、また都合の良い日時を確認することが重要です。

この確認を怠ると、かえって迷惑になってしまう恐れがあります。

枕花に適した胡蝶蘭

枕花は、故人の枕元という限られたスペースに飾られるため、葬儀会場に飾る供花のように大きなものである必要はありません。

むしろ、コンパクトで飾りやすいサイズのアレンジメントが好まれます。

胡蝶蘭を枕花として贈る場合、大輪の3本立てや5本立てといった豪華な鉢植えよりも、ミディ胡蝶蘭や小ぶりなアレンジメントが適しています。

色は、やはり白を選ぶのが最もふさわしいでしょう。

枕花は、葬儀の供花のように立て札を付けることはせず、お悔やみのメッセージを記した小さなカードを添えるのが一般的です。

枕花を贈る際の注意点

枕花は、主に故人と特に親しかった親族や、極めて親しい友人が贈るものとされています。

一般的な友人・知人や、会社関係の場合は、枕花ではなく、葬儀会場に飾る供花を手配するのが通例です。

自分が枕花を贈るべき立場かどうかわからない場合は、供花として手配する方が無難です。

また、ご遺体の安置場所が自宅ではなく、病院や斎場の安置室の場合、花の持ち込みが制限されていることもあります。

この点も、遺族や葬儀社への事前確認が不可欠です。

枕花は、故人が旅立つ間際に寄り添う、非常に心のこもったお供えです。

タイミングとマナーを正しく守り、深い弔意を伝えましょう。

白以外はNG?胡蝶蘭の色の選び方

胡蝶蘭といえば、白の他にピンクや黄色、紫など様々な色の品種があり、その華やかさも魅力の一つです。

しかし、胡蝶蘭の花言葉と葬式の文脈においては、色の選び方に特別な配慮が求められます。

基本的には「白」を選ぶのが最も確実で、マナーに沿った選択です。

なぜ「白」が基本なのか

葬儀や通夜といったお悔やみの場で白が基本とされるのには、明確な理由があります。

前述の通り、白は「清純」「純潔」を象徴し、故人の魂の清らかさや、新たな旅立ちを神聖に見送るという意味合いがあります。

また、遺族の悲しみに寄り添う色としても、静かで控えめな白が最もふさわしいとされているのです。

特に、法人として贈る場合や、故人との関係性がそれほど近くない場合には、迷わず白い胡蝶蘭を選ぶべきです。

これが、弔意を伝える上で最も間違いのない、社会的な共通認識となっています。

白以外の色を選ぶ場合の注意点

では、白以外の胡蝶蘭は絶対にNGなのでしょうか。

結論から言うと、必ずしもそうではありません。

ただし、色付きの胡蝶蘭を選ぶ際には、時期や故人との関係性を考慮する必要があります。

  • 四十九日以降の法要:葬儀から日が経った四十九日や一周忌などの法要では、少し色味のある花を贈っても良いとされています。遺族の心を少しでも明るくしたいという気持ちを込めて、淡いピンクや、中心部だけが色づいたリップ系の胡蝶蘭などが選ばれることがあります。故人が生前好きだった色を選ぶのも、心のこもった供養となるでしょう。
  • 故人が若かった場合:若くして亡くなった方の場合、「安らかに」という想いに加えて、「慰め」の気持ちを込めて、優しく穏やかな色合いの花を選ぶことがあります。この場合も、派手な色ではなく、あくまで淡く優しい色調のものに限られます。
  • 遺族からの希望があった場合:「故人が明るい花が好きだったので、寂しくならないように」といった遺族からの希望があれば、それに沿うのが一番です。

いずれの場合も、赤やオレンジ、濃い紫といった、お祝いを連想させたり、刺激的であったりする色は避けるのが絶対的なマナーです。

もし色付きの胡蝶蘭を贈るか迷った場合は、白いものを選んでおくのが最も賢明な判断と言えます。

色の選択は、弔意の表現方法の一つですが、遺族の気持ちを第一に考え、控えめで慎み深い選択を心がけることが大切です。

遺族の負担にならないための配慮

お悔やみの気持ちを込めて贈る胡蝶蘭が、意図せずして遺族の負担になってしまうことがあります。

大切なのは、故人を悼む気持ちだけでなく、残された遺族の状況を思いやる心です。

ここでは、遺族に余計な手間や心労をかけないための具体的な配慮について解説します。

1. 供花辞退の意向を最優先する

最も重要な配慮は、何度も触れている通り「供花辞退」の意向を確認し、尊重することです。

遺族が辞退を表明しているにもかかわらず、一方的に花を送ってしまうのは、マナー違反であるばかりか、遺族を困らせてしまう行為に他なりません。

「どうしても弔意を示したい」という気持ちは分かりますが、その場合は後日改めてお線香をあげに伺ったり、手紙を送ったりするなど、別の形で気持ちを伝える方法を考えましょう。

2. サイズと置き場所を考慮する

特にご自宅に贈る場合や、家族葬など小規模な斎場の場合、大きすぎる胡蝶蘭は置き場所に困らせてしまう原因になります。

豪華な5本立てや7本立てなどは、確かに見栄えがしますが、その分スペースを必要とします。

事前に会場の規模を確認できない場合は、スタンダードな3本立てや、上品なミディ胡蝶蘭などを選ぶのが賢明です。

「大きい方が気持ちが伝わる」のではなく、「相手の状況に合わせたサイズを選ぶ」ことこそが、本当の配慮と言えるでしょう。

3. 後片付けの手間を考えた選択をする

胡蝶蘭の鉢植えは、花が終わった後の処理が必要になります。

葬儀後の大変な時期に、大きな鉢の処分で遺族に手を煩わせたくない、と考える方もいるでしょう。

最近では、供花を専門に扱う業者の中には、一定期間が過ぎた後に鉢の回収サービスを行っているところもあります。

そういったサービスを利用するのも、遺族への負担を軽減する一つの方法です。

また、胡蝶蘭は比較的育てやすい植物ではありますが、植物の世話に慣れていない遺族にとっては、管理が負担になる可能性もゼロではありません。

そのような懸念がある場合は、鉢植えではなく、吸水性スポンジに生けられたアレンジメントタイプの供花を選ぶという選択肢もあります。

4. 適切なタイミングで贈る

葬儀当日は、遺族は弔問客への対応などで非常に慌ただしくしています。

当日の朝などにいきなり花が届くと、対応に困る場合があります。

供花は、お通夜の前日や当日の午前中など、葬儀社が設営準備をしている時間に届くように手配するのが一般的です。

そのためには、個人で手配するよりも、葬儀を担当している葬儀社に直接依頼するか、提携している花屋に注文するのが最もスムーズで確実です。

これらの配慮は、すべて「相手の立場に立って考える」という思いやりの心から生まれます。

自己満足の弔意とならないよう、常に遺族の気持ちを第一に考えた行動を心がけましょう。

胡蝶蘭の花言葉と葬式の知識で弔意を伝える

これまで、胡蝶蘭の花言葉と葬式に関する様々なマナーや注意点について詳しく解説してきました。

お悔やみの気持ちは、ただ伝えれば良いというものではありません。

故人への敬意、そして悲しみの中にいる遺族への深い配慮が伴ってこそ、その真心が正しく伝わるのです。

胡蝶蘭が持つ「清純」という花言葉は、故人の清らかな旅立ちを願う心と重なります。

葬儀の場にふさわしい「白」という色は、日本の弔いの文化に深く根付いた、敬意と哀悼の意を表す色です。

供花として胡蝶蘭を選ぶことは、これらの意味合いを理解した上で、最も格式高く、そして静かに弔意を示すことができる方法の一つと言えるでしょう。

しかし、その選択がいかに適切であっても、贈る際のマナーを疎かにしては、せっかくの気持ちが台無しになってしまいます。

立て札の書き方、宗教ごとの違いの理解、贈るタイミングの配慮、そして何よりも遺族の意向を尊重すること。

これらの知識は、あなたの弔意をより深く、そして温かいものとして遺族の心に届けるために不可欠な要素です。

相場を理解し、故人との関係性にふさわしい一鉢を選ぶこと。

49日などの法要にも心を寄せ、時を経ても変わらぬ想いを伝えること。

そして、大きすぎる花で遺族を困らせたり、後片付けで手を煩わせたりすることのないよう、細やかな配慮を忘れないこと。

胡蝶蘭の花言葉と葬式にまつわる知識は、単なる作法やルールの集合体ではありません。

それは、大切な人を失った方々の心に、静かに、そして敬意をもって寄り添うための、思いやりの道しるべなのです。

この記事で得た知識が、あなたの心からの弔意を、最も美しく、そして適切な形で伝える一助となることを願っています。

この記事のまとめ
  • ➤胡蝶蘭の花言葉「清純」は故人への敬意を表す
  • ➤葬儀に贈る胡蝶蘭は「白」が基本マナー
  • ➤供花は祭壇を飾り故人を偲ぶための大切な役割を持つ
  • ➤立て札には「御供」と贈り主の名前を正確に記す
  • ➤個人で贈る際の相場は1万円から3万円が一般的
  • ➤法人で贈る場合は2万円から5万円が見劣りしない目安
  • ➤お供えを贈るタイミングは通夜の前が望ましい
  • ➤49日法要にも日持ちのする胡蝶蘭は適している
  • ➤キリスト教式では供花を教会に送らず自宅へ届ける
  • ➤枕花は訃報後すぐに親族など近しい人が手配する
  • ➤淡い色の胡蝶蘭は四十九日以降の法要で検討する
  • ➤遺族の「供花辞退」の意向は必ず尊重する
  • ➤斎場や自宅のスペースを考慮し大きすぎないサイズを選ぶ
  • ➤胡蝶蘭は花粉や香りが少なくお供えに適している
  • ➤正しい胡蝶蘭の花言葉と葬式の知識で心からの弔意を伝える

 

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